vitrectomy
硝子体手術というのは、眼の奥に生じる病気に対して行われる、眼科分野でも最も難しい手術の1つです。この手術は1970年代に報告され、現在でも行われているスリーポート(穴を3つ開けて、硝子体内で種々の手術操作を行う眼内手術)での硝子体手術が行われるようになりました。 近年では、硝子体手術は様々な手術装置、手技が開発され、手術の安全性が高まるとともに、手術成績も向上してきています。中でも25、27ゲージを使用する小切開硝子体手術は、手術による侵襲が極めて少なくなりました。 そのため、硝子体手術を日帰りで行う施設も、まだ少数ではありますが着実に増えてきています。当院でも25ゲージ(切開0.5mm)を用いた無縫合での硝子体手術(*1)を日帰りで行っています。
日帰り硝子体手術のメリットは、日常生活あるいは社会生活へ早く復帰できることです。25Gシステムが普及することにより、全例で日帰りでの手術を目指しております。
増殖糖尿病網膜症、増殖硝子体網膜症などの難症例は、入院安静が必要と言われていますが、これまでの経験から、自宅安静と点眼治療をしっかりと行ってもらえれば、そのような難症例でも日帰りでできるように思っています。
日帰り硝子体手術でもっとも大切なことは、患者様本人と家族の方への手術前と手術後の指導だと思います。そのためにも、医師、看護スタッフ・患者さん本人・家族がしっかりと連携して、チームワークで病気を治していくというコンセプトが、日帰り硝子体手術を成功させるキーでないかと考えています。
*1 25ゲージ硝子体手術
網膜前膜、黄斑円孔、糖尿病網膜症、硝子体出血、網膜剥離、増殖硝子体網膜症、網膜中心静脈分枝閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、黄斑浮腫、網膜下出血など
※網膜剥離、黄斑下血腫等の緊急を要する手術、運転免許等で急ぐ方などは緊急に対応できますのでご相談ください。
点眼麻酔とテノン嚢下麻酔という局所麻酔で行います。手術中、触られる感じはありますが、痛みはほとんどなく、手術中は会話もできますので心配なく手術を受けていただけます。
手術時間は30分から60分程度ですが、これは病状によることは言うまでもありません。一般的に進行した網膜症であるほど長時間を要し、難症例では2時間を越えることもあります。また、ほとんどの場合白内障手術を同時に行います。当院では白内障手術と硝子体手術について十分に経験を積んだ専門医が最新の医療機器を用いて手術を行っています。
※来院された日は瞳を広げて診察いたしますので、3〜4時間見えにくくなります。車、バイクなどを運転してお帰りになるのは危険ですので公共交通機関を利用されるか、迎えに来てもらってください。
※緊急硝子体手術時は当日検査・手術となります。
眼脂培養などの眼科的検査、採血・血圧などの全身検査
手術内容説明(手術承諾書、術前検査時の血液検査結果、術前減菌法の点眼薬(2日前より合成抗菌剤を点眼)を渡し、患者さんへの連絡がきちんとつくように緊急連絡先を確認し、高額医療費などについても説明を行います。)
1時間半前に来院。手術後はリカバリー室で10分くらい休んで帰宅して頂きます。
白内障手術の場合は、眼帯をせずに保護眼鏡を装用するノーパッチなのですが、硝子体手術後は、眼帯をして帰っていただいています。
術後の経過は定期的に通院していただき(術翌日、術後3日、術後7日、・・・)、経過観察を行います。
術後の処置は、病気の治療計画・内容を明確に記載したクリニカルパスを用いて行っています。 クリニカルパスは、疾患の重症度に従って3種類のものを作成しています。
また、患者様用には図や写真を用いたわかりやすいクリニカルパス表を作成し、日常の生活を守っていただくようにしています。